ところが、売り出した沐浴用シートが、思うように売れない。2,000枚分を製造してもらうよう業者に対して発注し、支払いも済ませていた。焦りが募る。
転機になったのは2000年2月、全国紙で沐浴用シートと女性起業家としての阪部が紹介されたことだった。新聞が発行されたその日、朝8時30分に会社の電話が鳴った。「沐浴用シートってどうやったら買えるんですか?」。それから夜の7時半まで、一本しか引いていない電話は鳴りっぱなし。「受話器を置いた途端にまた鳴る。朝から晩まで電話が一瞬たりとも途切れることがないんです。それが1ヶ月間、毎日続きました」。1,500枚ほどあった在庫がみるみるうちに減っていった。ところが、売れ出して3ヶ月ほど経った頃、一本のクレーム電話がかかってきた。
「普通に使っているのに、洗面台にシートを付けるための吸盤が取れてしまうんです」。原因は、シートの加工だった。従来、シートの製造会社に吸盤を付けるための穴加工までを委託していたが、加工工程だけをアクションケイが引き継いだ。独自に穴を開け、吸盤の部品を取り付けたが、強度が足りなかった。強度を保つように穴加工をすると共に、材質をポリウレタンに変えてみる。
ところがポリウレタンに素材を変更してみると、今度は価格が問題になった。阪部は当時、赤ちゃん用品を専門に扱う全国チェーン店舗に販路を確保したばかり。ポリウレタン製品の価格で小売ルートに乗せるには高すぎる。担当者にはそう言われた。
解決策は、天然ゴムとポリウレタンの「2本立て」作戦だった。小売流通に乗せるため、改めて天然ゴム素材を使った商品開発に取り組み、コストダウンを図った。商品の価格は3,600円から2,500円まで下げた。一方、耐久性を前面に出したポリウレタン製も商品化した。発売から4年。沐浴用シートの販売実績は累計3万枚に達した。
現在、一年に110万人の赤ちゃんが生まれているという。それに対してベビーバスは年50万個売れている。「まずは、年5万枚の沐浴シートを売ることが目標。そのためには、実際に使っているところを見てもらうのが一番です。どうやって見てもらうか、また試行錯誤を繰り返すんでしょうね」と阪部は笑う。(敬称略) |
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