H O M E>>KRP広報
アクセス KRPTOP
KRP広報
KRP PRESS
HOP STEP JOB
テクノロジーを誇っているうちはまだまだ。技術をアートの域まで高め、真に価値のあるものを生み出したい。
インタクト 株式会社(1号館)
1903年、ロシアの植物学者であるミハイル・ツヴェットが発明した技法、クロマトグラフィー。
当初は植物色素を分離させるために用いられた技法ですが、今日の分析化学の分野でクロマトグラフィーは欠かせない技法であり、化学に関するあらゆる分野で重要な部分を担っています。
株式会社インタクトは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に用いられる“カラム”という円筒状の道具を製造するメーカーです。商品をカラムの製造一点に絞った理由…そこには“ものづくり”に携わる者の情熱がありました。


■「ものづくり」と「ビジネス」のシンフォニーは出会いから始まった。

開発担当:矢澤到さん

 インタクトの則内健司さんと、矢澤到さんには、まったく異なった役割分担と、意外な共通点があります。則内さんは会社の代表取締役として、営業と経営を、矢澤さんはインタクトの商品であるカラムの開発を担当しています。文学部出身の経営者と、ずっと開発畑でキャリアを積んできた技術者…これを例えるなら火と水と言ったところでしょうか。しかし、この両輪が噛み合った時、驚くべきコンビネーションを発揮するのです。ふたりは大学時代、それぞれの学校でオーケストラ部に所属していました。オーケストラへの思いは社会人になってからも続き、ある日、市民オーケストラでふたりは運命の出会いをしたのでした。当時、矢澤さんは大手化粧品メーカーの研究所を経て、大手分析機器メーカーの開発部隊で活躍していました。しかし、「会社のブランドではなく、自分個人の知識や実力を評価してほしい」と望むようになり、独立を意識し始めていたのです。その思いに賛同した則内さんは1999年、矢澤さんとインタクト株式会社を設立することを決意しました。


代表取締役:則内健司さん

社名の「インタクト」は音楽用語の「im takt」からとったもので、「ありのままに」「正確なテンポで」という意味。ロゴは平安京と北山、鴨川といった京都のシンボルをグラフィック化するとともに、メトロノームをかたどったダブルミーニングにしました。
 事業内容はただひとつのみ。矢澤さんが最も得意とするHPLCカラムの製造でした。その思いは則内さんも共通していました。「一獲千金では成功しない。コツコツとものづくりに励んできた京都の職人のように、少しずつでも優れたものを提供していきたい」。それは、まさに「im takt」の精神。矢澤さんは金箔や漆工芸、清水焼などの伝統工芸に携わる職人のもとを訪ねてはいろいろな話を聞き、真のクラフトマンシップとは何かを模索してきました。そして、そのマインドは今もしっかりと自分の中に息づいていると、矢澤さんは話します。



■「いいもの」では成功しない。「どう役立つか」を考えることが大切。
 優れたHPLCカラムを市場に送り出すことは、化学に関するあらゆる分野の発展につながると則内さんと矢澤さんは確信していました。しかし、HPLCカラムの市場…それは決して大きいものではなく、ベンチャーキャピタルはなかなか支援に乗り出してくれないというのが現実。そこで、KRP地区内にある公的機関の支援制度、分析装置や解析装置を利用しながら、着実に商品開発を続けてきました。「KRP地区は当時インターネットにいち早く対応していたので、世界中の情報を速やかに導入できました。もし、これがなかったら、これまで会社が築いてきたノウハウを頼りにするしかなく、我々のような小企業が世界というマーケットへ進出するにはかなり困難だったと思います」と、則内さんは当時を振り返ります。こうして、インタクトのオリジナル製品が完成したわけですが、当初から順風満帆だったわけではありません。最初はほとんどが門前払い。分析化学の世界ではこれまで使用してきたカラムへの信頼が高いうえ、無名のメーカーのカラムを導入することに消極的だったからです。さらにはこんな問題もありました。HPLCカラムにはシリカゲルに表面修飾した充てん剤が入っており、この粒子が小さいほど精密な分析が可能になります。インタクトが開発したHPLCカラムに充填している充てん剤は2μmや3μm粒子なのですが、医薬品の規格書である「日本薬局方」には5μmと記載されていました。これが障壁となり、業界は想像以上に保守的だったのです。性能も倍以上、分析にかかる時間も半分以下、しかも分析時に出る廃液の量も半分以下で環境への負担も少ないのに導入してもらえない…いくらつくり手がチャレンジしても、ユーザーがチャレンジしないというジレンマに、則内さんと矢澤さんは頭を抱えました。「だからといって従来の製品と同じものをつくっていては意味がない。100年のカラムの歴史を少しでも前進させ、ユーザーの役に立つものづくりが自分たちの使命だ」…矢澤さんには確信がありました。彼はこれまでマーケットとかけはなれた研究室ではなく、まさにマーケットの真っ只中にあるメーカーで分析業務やカラムの開発に携わってきました。だからこそ、市場には何が必要であるかがわかっていたのです。試練の時期を乗り越えて、インタクトが開発したHPLCカラムの性能の高さは口コミのような形で広がっていったのでした。


■「メイド・イン・ジャパン」、「メイド・イン・キョウト」を世界に発信。

インタクト製2μmシリカ粒子

 インタクトは設立以来、1年に1種類のペースで製品を開発し、現在は大きく10種類、サイズのバリエーションを加えると600種類のHPLCカラムを製造しています。インタクトの製品は京都の老舗がつくった桐箱に納められています。これは単に京都っぽさを意識したのではなく、従来のウレタンと遜色のないクッション性がありながらコンパクトにパッケージできることで、輸送コストをカットできるという利点があるのです。これは業界に強烈なインパクトを与えたようで、インタクトの社名より先に「桐箱のカラム」として認知されたほどでした。この発想は、おそらく京都の伝統工芸を意識しながらものづくりに取り組んでいなかったら実現することはなかったでしょう。
 そして現在、インタクトのHPLCカラムは国内だけで2000近い組織のユーザーを持ち、海外は30カ国へほぼ毎日出荷されるというところまで辿り着きました。また、アメリカ人を経営スタッフとする在米法人も設立し、現在は国内外で高い評価を受けています。また、業績を伸ばしているだけでなく、さまざまな病気の因子を探るプロテオーム解析などにおいて、インタクトのカラムが抜群の性能を発揮しているそうです。設立当時から現在に至るまでのユーザーの反応の変化を則内さんはこう語ります。「私自身、カラムのことはよくわからずにこの仕事を始めたのですが、ユーザーと接しているうちに市場に送り出している製品の価値を実感するようになりました。今はユーザーの期待を目の当たりに感じ、それが次の製品開発への使命感になっていますね」。一方、開発担当の矢澤さんは、設立当時からまったくブレないマインドでものづくりに取り組んでいます。「インタクトのカラムには日本人特有の器用さ、細やかさが反映されています。これをよりレベルアップしていけば、メーカーの有名無名、国や民族に関係なく評価してもらえるはず。技術云々を語って認めてもらうのではなく、実際に触れて(使って)もらい、そして理解を示してもらう…それって、オーケストラなどのアートと共通すると思うんですよ」。京都の職人マインドが息づくインタクトのカラムは、サイエンスを通じてこれからも世界中の人々に驚きと感動を与え、称賛されることでしょう。



■Company Profile
■インタクト 株式会社
業種: 医療/健康/化学/バイオ
代表者: 代表取締役 則内 健司
電話: 075-325-2018
FAX: 075-315-2381
所在地: 京都市下京区中堂寺粟田町93 京都リサーチパーク1号館1F
ホームページ: http://www.imtakt.com/
設立: 1999年4月
事業内容: HPLCカラムの製造販売


KRP PRESSの記事に関するお問合せは
京都リサーチパーク(株) 営業部
TEL:075-315-8988 Fax:075-322-5348
▲目次ページへ戻る
プライバシーポリシー ご利用にあたって サイトマップ